「編む」projectのこと 前編
これまでたくさんの古い建物を現所有者から新しい所有者へつないできた「ことのは不動産」ですが、いくつかもどかしい想いもしてきました。
それは、せっかく売りに出された建物がその魅力を見つけてもらえないまま長く放置されてしまうこと、場合によっては、その価値を十分に検討されないまま壊されてしまうこと。
そして、それは今までの不動産を“仲介”する立場ではなかなか解決できないことでもありました。
一度空家になってしまった古い建物をまた活かすには大きな改修工事が必要なことがほとんどなのですが、その工事費を空家の現所有者である売主さんが売却前に捻出することは難しく、また購入希望者さんにとっても工事費がどれだけかかるかはっきり分からない状態で買うかどうかの決断するのは難しいもの。
加えて、古い建物を購入してリノベーションしたいと思っている購入希望者さんでも、改修する前のありのままの姿を見てここでの自身の暮らしをすぐにイメージをできる方は少なく、具体的な検討に進めないということもしばしばです。
一方で、新築用の土地を探している不動産業者や住宅メーカーにとっては、古い建物は不要な上物(うわもの)でしかなく、解体を前提に土地として売買されるのを傍で見ているしかないこともありました。
一旦「ことのは不動産」自体がその建物の所有者になれば、少しは状況を変えられるかも・・・
そこで、町家改修のプロフェッショナル「越島工務店」さんとパートナーシップを組んで、空家改修再販プロジェクトをはじめることにしました。
年に1、2軒ほどのわずかな数ではありますが、「ことのは不動産」名義で古い空家を一度買い取って改修し、完成後に販売していきます。
元の所有者の想いを辿るように、建物をゆっくりとほどいて、
次の所有者に想いを馳せて、また建物を編みなおす
そんなプロジェクトにしたいと、プロジェクト名は『編む』とつけました。
第1弾は、金沢市横山町の建つ昭和2年築の町家。
所有者のお母さまが住まなくなって20年程空家になっていたものを当時の家財も残ったままの状態で買い取らせていただきました。
現状の建物には傾きや傷みがありますが、その佇まいからは暮らしを楽しまれていた様子が手に取るように感じられて、『編む』ことできっと良い方に引き継げるような予感がしています。
これから本格的な工事に取り掛かり、2020年初夏の完成・販売開始を予定しています。
経過は少しずつ編む instagramに掲載していきますので、ぜひご覧ください。